2016年10月9日日曜日

黄化葉巻病


ファーマータナカの新農業講座第15回。
お題は「黄化葉巻病(トマト)」。

農業をやっていた名残りで「新・農業人ネットワーク」というグループの片隅に参加させてもらっている。先日現役の農業人の方から、以下のような投稿(抜粋)があった。

「お知恵を貸していただけると幸いです。
現在、勤め先でトマトを作ってるのですが、病気が広がって困っています。
病気は黄化葉巻病だと思います。
9/8に定植した大玉トマト約4000本のうち、3割ほどが発病しました。」

「黄化葉巻病」とはコナジラミ類が媒介するウイルス病で、感染すると成長点がカールし、成長が阻害され収量が著しく低下、最終的には全滅する恐ろしい病気で、根本的解決策防除法は今のところない。

農業とは病害虫との戦いと言っても過言ではない。
単一の面積に単一の作物を植え付けるという農業の大前提のため、生物多様性が、ひいては自然生態系が存在しないことは第11回講座ですでに述べた。
消費者の皆さんには、対応対策はともかく、農業者の日々が、前提として病害虫の存在、そして新種及び抵抗性の病害虫の発現に対峙し苦悩し続けている実態を感じてもらえれば幸いである。

以下拙い経験を基に私のコメントを転掲しておくので、興味のある方は読んでいただきたい。
私は長年トマト栽培をしていましたので、この病気の大変さは十二分に理解経験している者です。
ちら様は現役のプロであり、情報も沢山取れる時代なのでお役に立てないかもしれませんが、経験上大切だと思われることを23書いておきます。
厳しい事を書きますが、被害を最小限に抑え、それなりの生産を確保するためあえて書かせていただきました。
但し私個人の考えなので、最終的判断はもちろんおまかせします。

 私の結論は、
1. 病気が入ったらその作は早く諦めて全処分する。
2. より良いあるいは根本的対策が発明発見されるまでは、耐病性種子で対応する。
3. 耐病性種子でも、ウイルスはいる(病状の発現がないだけ)ので、防除は徹底する。
ということです。

体的には、発生したウイルスと媒介するコナジラミは0になっていないので、抜き取った後見た目が羅病していなくても、作の後半や収穫時期になって発現し、ちゃんとした収穫は望めない可能性が高いと思われます。
又、植え直しても同じ状況だったら(ウイルス及びコナジラミが0でない)、まず100%再発する可能性が高いです。以上は私自身が何回も経験した失敗例でもあります。

 そこで現実的対応としては、耐病性種子で対応するしかありません。
コスト(耐病性種子は高い)、食味、作型、糖度、裂果等々いろんな問題ははらんではいると思いますが、背に腹は変えられないということです。よりよさそうな種子を選択する(最初は数種類播種してより良いものを選択していく)しかありません。

指導機関による一般論は、「入れない、出さない、増やさない」と言われていますが、現実には0.4mmのネットを張っていても人の出入りや、天窓や隙間等により、100%の阻止は無理です。防除も、1000にはできない、抵抗性が出現する、バイオタイプQの問題があり、完全駆逐は無理だと思われます。
(熊本県のように、産地全体で作型をきちんと管理して、毎年1回必ず0になる状態を作り出すのは難しいのではないでしょうか。それでも発生していると思います)
又、発病株を抜き取っての処分も、応急処置的方法で根本的解決にはなっていません。

以上厳しいことを書きましたが、少しでも参考になれば幸いです。ご存じだとは思いますが、少しリンクを貼っておきます。

抵抗性品種を利用してトマト黄化葉巻病の被害を減らす

トマト黄化葉巻病対策の手引き

 健闘を祈るしかない、頑張って下さい…。
(画像は黄化葉巻病とコナジラミ)



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